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駄文~大戦?~:太史慈

駄文~大戦?~

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大戦風味


太史慈


「孫策さまっ!」
咄嗟に孫策さまの前に出ていた。
矢が肩に刺さる感触。
「ぐっ」
「子義!」
勢いあまって、孫策さまに抱き止められる。
「子義・・・休んでいろ」
俺を地面に座らせると、孫策さまは俺を庇うように前に立った。
その途端、孫策さまが纏う空気が変わった。
孫策さまの頬を矢がかする。
「この程度では、俺は止められぬ」
「孫策さま・・・」
その顔は見えないけれど、確かに孫策さまは笑っていた。
「子義・・・戦勝の報告を持って帰ってくる!」
言ってもう敵部隊に突っ込んで行ってしまった。
傷が痛んだが、大声で叫んだ。
「孫策さま!」
あの人は振り返らない。
「太史慈さま、手当します」
部下の声が遠くに聞こえる。
孫策さま・・・。
そんなに生き急がないで下さい・・・。

肩当をしていたので、傷は深くはないようだ。
しかし、包帯で肩はぐるぐる巻きにされていた。
当分、右手を使えない。
寝台に座っていると、孫策さまの声が聞こえ、入るぞと言った時には部屋に入っていた。
手には夕食を持っている。
「大丈夫か?」
「ええ。肩当をしていたので、浅くてすんだようです」
「お前、俺を庇うなよ。俺は避けられたぞ」
孫策さまは夕食を机に乗せて、椅子に座り、俺と向かい合う。
頬には手当がしてあった。
「すいません」
素直に謝る。
「ま、いいけどよ。どうしたんだ?」
「え?」
「普段だったら、自分のことに集中してるお前だ。誰かの命令か」
「・・・周瑜さまが」
「公瑾が?」
「最近の孫策さまは、単騎で駆けて伏兵を踏んで自ら撤退していると・・・。それで様子を見て欲しい、と」
「あいつ・・・今度会ったら締めてやる」
「それに・・・」
言おうとして、はっとする。
これは私的なことだ。
口をつぐむ。
「子義」
孫策さまが先を促す。
俺を見つめる孫策さまは、嘘を許さない目をしていた。
「あなたが・・・」
「俺が?」
「矢に打たれて・・・その、そういう夢を見ました」
さすがに本人を目の前にして、死という言葉は躊躇われ、俯いた。
しかし、孫策さまにはわかったのだろう。
「ふ~ん。で、俺はどんな死に顔だった?」
思わず孫策さまを見る。
孫策さまはかすかに笑っていた。
「お前が心配するような、現実的な夢だったんだろ?だったら死に顔も見たんじゃないのか?」
俺は黙ったままだった。
孫策さまはそれを肯定と取ったようだった。
「子義、俺は覚悟はしてるつもりだ。戦場で笑って死ねたら本望だ。でもまだだ。まだやり足りないことがある。まだ死ねねぇ」
それは自分に言い聞かせているように聞こえた。
俺は黙って、孫策さまを見ていた。
「子義、お前が不安に駆られないように・・・俺を見張っていろ」
孫策さまは一呼吸置いて、やさしげな目で俺を見た。
「お前が・・・守ってくれるんだろう?」
「・・・必ず。あなたは私が守ります」
命に代えても。
「頼むぜ。子義。だが、死ぬなよ。俺の為に死んだら、俺が許さねぇ」
お見通し・・・か。
「わかりました」
「さて、話は済んだし・・・食おうぜ」
孫策さまは机の上にあった夕食が乗った皿と箸を持ってきて、俺の横に座った。
俺に渡してくれるのかと思っていたが、そのまま持っている。
「子義、俺が食べさせてやる」
「えっ?け、結構です」
「遠慮するなよ。ほら」
孫策さまはおかずをつまみ、箸をこちらに近づけてくる。
「いいです。自分で食べれます」
「お前、射られたの、利き腕だろ?食べにくいだろ」
「私の利き腕は左です」
「嘘言うなよ。だいたいお前は・・・」

それから数分後、俺は孫策さまに負けた。
夕食を君主に食べさせてもらうなんて、とんでもないことだ。
今では、いい思い出になっている。
何かと酒の肴にされているけれど・・・。
孫策さまはまだここにいる。
まだ戦場を駆けている。
俺と共に。
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