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駄文~大戦?~:『ICB』 13th Album 2007.08.06作

駄文~大戦?~

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ICB


『ICB』 13th Album 2007.08.06作


「なんだ、ありゃ?」
朱桓は見張りの兵の報告を受け、城壁の上から外を見た。
何かか土煙を上げながらこっちに向かってくるのが見えた。
近くなった時・・・それに敵の将が乗っていることに気づいた。


ぞうさん



「このことを張悌に」
見張りの兵が走り出したのを見て、朱桓は敵将に向かって叫んだ。
「何の用だ!トウ艾さんよ」
トウ艾は上を見上げて、そこに朱桓を見た。
「すまぬが2・3日滞在させてくれないだろうか?」
「敵軍の将を?冗談だろ」
「そちらに滞在中は無論、休戦だ」
「信じられねぇな」
「朱桓さま」
張悌のところにやった見張りが戻ってきて、朱桓に耳打ちした。
「ちっ、丞相さまがいいとよ。門を開けろ!」
城門が開かれる。
どすん、どすん。
トウ艾が歩いていくと呉の丞相、張悌がいた。
「ようこそ。呉へ」
張悌の目はトウ艾ではなく、その乗り物に釘付けになった。
「ああ。これは象だ。名を『リョーチョー』と言う」
「これが・・・『リョーチョー』」
「驚きどころはそっちか!張悌」
「すまない、朱桓。ちょっと動揺しただけだ。それでどうしてこんな所までいらしたのですか?見たところ、着の身着のままのようですが・・・」
「それが象を訓練している時に、仲間とはぐれてしまったのだ。神速で帰ろうとしたのだが・・・逆方向に来てしまったらしい。リョーチョーの疲れが取れたらすぐに帰ろう」
象がぱお~ん♪と鳴いた。
「そうでしたか。ではリョーチョーどのは私と一緒に、トウ艾どのは朱桓、矢印盾の館に君が案内して差し上げなさい」
「おう、っていいのか?」
「ええ、お願いします」
「じゃ、案内するぜ。こっちに来な」
トウ艾とリョーチョーは別々の道に歩いていった。

「ここですよ」
リョーチョーが連れられてきたのは、大きな館だった。
ここならリョーチョーでも入るだろう。
扉を開け、中に入る。
「小虎?いますか?」
「張悌・・・さま?」
奥のほうから声が聞こえ、虎のぬいぐるみを持った小さな少女が現れた。
「小虎、この象はリョーチョーと言って・・・2・3日ここに泊めてもらえないでしょうか?」
「いぢめない?」
「大丈夫、おとなしいですよ。そして賢い」
リョーチョーは、ぱお~ん♪と鳴いた。
「では小虎、よろしくお願いしますね」
小虎の頭を撫で、そしてリョーチョーの目を見つめて小さな声で「お願いしますね」と言い、張悌は館をあとにした。

張悌が去った後、リョーチョーと小虎は向かい合ったまま動かないでいた。
どすん。
リョーチョーが近づく。
「小虎を・・・いぢめないで・・・」
小虎は虎のぬいぐるみをぎゅっと握り締めた。
ぱお~ん♪
リョーチョーは鼻を動かし、小虎の頭の上で止めた。
思わず目をつぶる小虎。
リョーチョーは小虎の頭をゆっくりとやさしく撫でた。
ぱお~ん♪
「リョーチョー?リョーチョーは小虎のこと、いぢめないの?」
小虎は瞳に涙をいっぱい溜めて聞いた。
ぱお~ん♪
「リョーチョー・・・」
その日、小虎はリョーチョーに寄り添って眠った。

「明日、ここを出発しようと思う。長居したな」
「そうですか・・・まだ疲れているように見えますが」
「ああ、朱桓どのに常に見られているような気がして・・・あの家は落ち着かん。矢印だらけだからな」
その物言いに、張悌はくすくす笑う。
「張悌どのも意地が悪い」
「申し訳ありません」
張悌は素直に頭を下げた。
トウ艾がここに来てから4日が経っていた。
ある程度自由を許されていたので、いろいろと呉を知ることができた。
今後はこれを魏に持ち帰って、研究を重ねればいい・・・。
トウ艾はお茶を飲みながら、ところで・・・と切り出した。
「リョーチョーはどうしてる?」
「ああ、元気ですよ。あの象は利口ですね。絵を上手に描いているようです。館の主と、リョーチョーの鼻ですべり台をしているそうですよ」
その言葉にトウ艾はある引っかかりを感じる。
「張悌・・・どの?」
「何か?」
薄く微笑む張悌を見ているうちに、トウ艾は立ち上がった。
「ちょっとリョーチョーの様子が見たい。案内してくれるか」
「よろしいですよ」

トウ艾達がそこに着いた時、かわいらしい少女が象と戯れていた。
「おやおや、すっかり仲良しですね」
トウ艾はそれを苦い顔で見つめている。
こちらに気づいて少女が笑顔で駆けて来る。
その後を象が。
「張悌さま~」
「ぱお~ん♪」
「張悌さま、小虎とリョーチョーね。とっても仲良しなんだよ。今度海水浴に行く約束をしたの。ね~♪」
「ぱお~ん♪」
その会話を遮るようにトウ艾は告げた。
「残念ながら、それは無理のようだ。リョーチョー、明日の朝、ここを出発する。準備をしておけ」
「ぱお?」
「え?」
小虎の顔が曇る。
「リョーチョー、いなくなっちゃうの?明日、一緒に遠出するって行ったのに・・・いなくなっちゃうの?」
小虎はリョーチョーを見た。
リョーチョーもちょっと困った顔をしている。
「申し訳ないが・・・明日、帰る」
「いや・・・」
小虎の瞳から涙があふれてくる。
ふるふると頭を振って、小虎はトウ艾の腕を掴み、まっすぐに見つめる。
「もう、もう小虎をいぢめないで。小虎の・・・小虎の大切なものを取らないで」
その悲壮な声を聞いただけで、この少女に何があったかわかるような、そんな声だった。
下を向いて肩を震わせている可憐な少女を見ているうちに、トウ艾は苦いものが心に落ちていくのを感じた。
「リョーチョー、明日の朝だ」
それだけ言うと、小虎の手を振りほどき、先ほど来た道を早足で歩き出した。
張悌は無言でそれに続く。
トウ艾は歯をかみ締めた。
すべては仕組まれたものだったのか・・・。
館からかなり離れたところで、トウ艾は立ち止まった。
張悌も立ち止まる。
怒りが伝わらない様に注意しながら、張悌を見ずにトウ艾はひとつ息を吐き出し、声を出した。
「明日、馬を一頭・・・貸してくれ」
「遠慮しなくても、差し上げますよ」
リョーチョーの変わりに、と聞こえた気がした。

翌日、朝。
「世話になった」
張悌、朱桓の二人がトウ艾を見送りに来た。
「今度あったら容赦しねぇぜ」
「無論。こちらもだ」
朱桓とトウ艾は硬く手を握り合った。
「ではリョーチョーのこと、よろしく頼む」
張悌が頷いた時だった。
どすん。どすん。
「リョーチョー・・・」
リョーチョーがこちらに向かってきて、トウ艾の前で止まる。
「最後の挨拶をしに来たのか?」
ぱお~ん。
一声鳴いて、リョーチョーはトウ艾を鼻で掴んで自分の背に乗せた。
「リョーチョー・・・お前」
思わず張悌を見る。
張悌は少し複雑な顔をして、肩をすくめた。
リョーチョーは『ぱお~ん』と一声鳴くと呉の国を出て行った。
「いいのか?」
張悌は朱桓の問いに、私はどちらでも良かったんですよ、と呟いた。

「やっぱり、いなくなっちゃったの?」
いつも目覚めれば『ぱお~ん♪』と鳴いてくれた。
それがない。
あのおじさんが来てからリョーチョーはずっと考えているようだった。
わかっていた。
あのおじさんとリョーチョーが、とても深い絆で結ばれていることは。
それでも、もしかしたら、と思っていたのだ。
「やっぱり、小虎はひとりぼっち・・・」
ベットから出て、リョーチョーが使っていた部屋に行く。
かちゃ。
ドアを開けて、小虎は息を呑んだ。
最初に飛び込んできたのは、青。
「・・・海」
部屋全体が海になっていた。
リョーチョーが描いたに違いない。
小虎はゆっくりと全体を見回す。
ある場所で視線が止まった。
小虎の瞳から涙があふれ出す。
海の中、リョーチョーと小虎が遊んでいた。
いつものように・・・楽しそうに笑っていた。
「リョーチョー・・・」
ひとしきり泣いた後、小虎は部屋を後にした。

リョーチョーたちが去った後、会った少女の目は赤くなっていた。
「小虎。リョーチョーは行ってしまったよ」
こくんと少女は頷いた。
「ねえ張悌さま、早く戦を終わらせて。皆が平和な世を作って。そしたら、リョーチョーともすぐ会えるよね?」
赤くなった目で、まっすぐに張悌を見据える。
張悌は笑顔を作り、小虎の頭を撫でた。
「・・・そうですね。早くそんな世が来ればいいですね。そのために私達は戦っているのですから」
本当にそんな世が来るのだろうか?
疑問は青い空に溶ける。
いや、今は戦うしかないのだ。
この少女の願いの為にも・・・。
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