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駄文~大戦?~:ダブルS NO.1 2005.12.10作

駄文~大戦?~

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ダブルS


ダブルS NO.1 2005.12.10作


「はい!お疲れさまでした~」
「お疲れさまでした~」
「観覧者の皆様もお疲れさまでした~。これより移動して頂きま~す」
ここは、獅子天ホール。
今日はテレビ局の収録が行われている。
収録が終わって、皆それぞれにステージを後にしようとしているところ。
ステージ袖で、二人のマネージャーは、今日の司会者をつとめた二人にねぎらいの言葉をかける。
「二人とも、お疲れさま」
「ど、どうだった?やっぱり最後の決めがうまくいかなかったんだけど」
「そんなことないですよ。ただ、もうちょっとピタッと止まればよかったですね」
「ご、ごめんね~、甄ちゃん。私がバランス崩したから」
「蔡文姫のせいじゃないよ」
「でも~」
この二人、いまや人気急上昇中のコンビ、ダブルSである。
ピンの仕事もこなしながら、コンビの仕事も入っているので、マネージャーは二人ついていた。
「二人ともよく頑張りましたから、その話は後で」
マネージャーは話を遮り、二人を回れ右させた。
「時間ですよ」
ダブルSは、忙しい。
次のスケジュールもいっぱいに詰まっていた。
「じゃあ、今度おいしい物食べに連れて行ってくれる?もちろん、おごりで♪」
顔だけ、マネージャーに向けながら甄は尋ねる。
「甄ちゃん、ずる~い。私も。ね、いいでしょ、マネージャー」
ずっと黙っていた、もう一人のマネージャーの視線を痛いぐらい感じながら、しかしこう言わなければ、てこでも動かないであろう二人に、龍之介はにっこり微笑んだ。
「いいですよ」
「わかったら、早く着替えてこい」
今まで黙って聞いていたもう一人のマネージャーが二人を押しやる。
「ふ~んだ。TOM9のいじわる」
「甄、『さん』は何処に忘れてきた。何だったら『様』でもいいぐらいだ」
「なんであんたに、様をつけなきゃいけないのよ」
にらみ合う二人。
こうなったら、どちらもゆずらないのを知っている蔡文姫は甄を引っ張った。
「甄ちゃん、行こう。時間ないし・・・」
そのまま強引に引っ張っていく。
「ちょ、ちょっと蔡文姫・・・」
そのままひきづられる甄。

二人がディレクターやADに挨拶するのを見ながらTOM9が呟く。
「甘やかしすぎだ」
「わかってますよ」
TOM9は煙草を取り出した。
「ここは禁煙ですよ」
「わかってるよ。パイポだ。知ってるのにイヤミなやつだ」
「このくらいの意地悪は多めに見てほしいですね」
イライラしていている時は煙草を吸う。
煙草が吸えない場所では、パイポ。
長年、一緒にいる親友だから知っている。
前に一度、ガムや煙草型のチョコレートを勧めてみたが、駄目だった。
曰く、パイポの方がかっこいい・・・そうだ。
「龍之介、辞令が出たんだって?」
「まだですよ。まだ、出てないんです。おかしなことに」
「どういうことだ。おまえの耳にも入ってるのに?」
「どういうことなんでしょうね。かといって社長に言ったらすぐおりそうですし・・・」
「とりあえずいいんじゃないか?あのじゃじゃ馬娘の手綱を握れるのは、今のとこ、おまえだけのようだし・・・」
「馬ですか。彼女は・・・」
「ああ、蔡文姫とコンビになると、恐ろしいくらい、真価を発揮する。それがまた、面白い」
いつもはぶっきらぼうなしゃべり方が、少し熱っぽく語られる。
龍之介は、この親友のこんな話し方が好きだった。
辞令がおりれば、こんな風に話すことも少なくなるんだろうか。
思って、自嘲的に笑う。
TOM9は煙草を取り出し、龍之介に渡す。
「おまえは抱え込みすぎ」
「吸いませんよ」
「ばか。よく見ろ」
それは煙草型のチョコレートだった。
「あ、ありがたく、頂きます・・・よ」
TOM9の拳が、龍之介のお腹を叩く振りをして、忍び笑いをかき消す。
「二人とも仲良くてええね~」
「あ、荀平さん、お疲れさまです」
「お疲れさまです」
『オンエアバトル☆計略編』のディレクター、荀平が軽く手を挙げてやってくる。
このディレクター、デビューしてまもないダブルSを、この『オンエアバトル☆計略編』の司会に初期の頃から採用して、視聴率を上げ、その敏腕ぶりを発揮した。
マネージャーにとっては、頭が上がらない相手である。
「どんどん司会の方、上手くなってくるんやないの?」
「ええ、おかげさまで」
龍之介は軽く頭を下げる。
「この番組の方も、いろいろ面白い計略でできたやろ。ほんまに面白くなるのはこれからやと思うんよ」
「あ、いた。荀平さん、嬉野さんが呼んでますよ」
インカムをはずしながらADのむつーがこちらにやってくる。
「あ、TOM9さん、龍之介さん、お疲れさまです」
「お疲れさま」
むつーはテレビ局で働くADで、二人の高校の後輩に当たる。
「むつー、またさぼりにきたのか」
「違います。どうしてTOM9さんは、会うとそういうんだろう?」
「日頃の行いが悪いからやない?」
「荀平さんまでそんなこと・・・。そうだ、龍之介さん、今度ダブルSのサイン下さい。友達が欲しいって」
「むつー、おまえが欲しいんだろう?」
悪だくみを思いついた、いたずらっ子のような笑顔をむけて、TOM9はむつーの肩を叩く。
この人の前で、こう言っちゃいけなかった。
これから、これをネタにまた何回も言われるに違いない。
青くなっているむつーに、龍之介が助け船を出す。
「いいですよ。もし、スケジュールが会えば・・・食事もどうですか?荀平さんも一緒に」
「ええね~、でも、ホンマにええの?」
「い、いいんですか?スケジュールぐらい会わせますよ。・・・ダブルSと食事かあ」
あ~あ、こいつはどうしてこういうこと言っちゃうのかね・・・。
親友の姿を見ながら、TOM9は思う。
俺と蔡文姫なら、途中で抜け出すことも可能だろう。
しかし、荀平さんやむつーがいるとそうもいかなくなる。
甄もかわいそうに・・・。
ふと、視線を感じると龍之介がこちらを不思議そうに見ている。
「どうしたんです?」
「いや、初期の頃から出ていて、まだオンエアされない計略があったな、と思ってな」
TOM9は話を反らした。
「計略?今日の、ですか?」
「そうやね~、回数結構出てるんやけど、オンエアされへんのあるわ。計略はええんやけどな~。え~っと、誰やったかな」
「う~ん」
考えこむ4人。
「そうだ!」
「陳羣!」
4人の声が重なった。

「甄ちゃん、あんな約束して大丈夫なの?」
楽屋に戻りながら蔡文姫が甄に尋ねる。
「どうして。食事ぐらいいいじゃない」
「だって、龍之介さん、私たちのマネージャーじゃなくなるんでしょ?」
「・・・蔡文姫も知ってるんだ。でも、大丈夫よ。社長と話をしたから」
「甄ちゃん?」
立ち止まる蔡文姫。
「マネージャーを変えるなら、やめるって言っちゃった」
「甄ちゃん・・・」
甄は振り向き、蔡文姫の所まで歩いていく。
「私ね、彼にスカウトされたんだ。その時にお互いに約束したの。私をトップにしてくれるって。そのときまで、ずっとマネージャー続けてくれるって・・・。もしできなかったら、私はこの世界からいなくなるって・・・たとえ、何があっても」
じっと蔡文姫を見つめて、そしてゆっくり歩くように促しながら続ける。
「蔡文姫には迷惑かけちゃうと思うけど、でも、トップに立つときは、この4人で一緒にって決めてたから・・・ごめんね?」
「う、ううん。全然迷惑じゃないよ~」
やっぱり甄ちゃんは、龍之介さんが好きなんだ・・・。
蔡文姫は甄の横顔を見つめながら思った。
「それに今だから、やめます!とか言えるんだけどね。全然売れてない時だったら、皆でクビ決定だもんね?」
「うん、そうだね。って、甄ちゃん、私もクビ~?」
「まだ蔡文姫には、私が必要でしょ?」
いたずらっ子のような笑顔で、甄が言う。
「う、うん。甄ちゃんが必要」
蔡文姫は甄の腕を自分の腕に絡めた。
そう、まだ甄ちゃんが必要なの・・・。
眼をつぶり、甄の腕を握り締める。
「蔡文姫・・・」
その時、コツコツと靴音がして、前方から今日の出場者が歩いてくるのが見えた。
慌てて離れる2人。
「あ~、今日出てた人だ~」
たしか、面白い計略だったけど、オンエアには至らなかった人だ。
「し、司会、お、お疲れさまです」
「お疲れさまです。残念でしたね。応援してたんですよ」
甄ちゃんの社交辞令は、知らないとホントに恐い。
みんな、騙されちゃうのだ。
「あ、ありがとうございます」
その人は暑いのか、かなり汗をかいて、恐縮している。
「じゃ、また出てね~」
「また出場してくださいね」
その人と別れて、ダブルSと書かれた楽屋のドアを開けた。
その途端。
「な、なんなの。これ」
そこには、山のように積み上げられた、獅子天饅頭の箱があった。
「甄ちゃん、あそこになんか書いてあるよ~」
甄はテープで止めてあったその紙をはがし、読み始める。
「え~っと『ダブルSの皆さんお疲れさまでした。このホール名物の獅子天饅頭をお持ち帰り下さい。お二人の活躍をお祈りしています』って、こんなにどうしろっていうのよ!」
蔡文姫が律儀に数え始める。
「100個ある・・・」
「100・・・蔡文姫、持って帰るわよ」
「えええ~、本気なの?甄ちゃん」
「当たり前よ。人の好意を無にしちゃいけないわ」
どうやら、甄ちゃんのスピリットに、火がついたみたい。
こういうときは、甄ちゃんの言うとおりにするに限る。
「じゃ、マネージャーにも来てもらうね」
「お願い」
蔡文姫は手早く着替えると、マネージャーを呼びに楽屋を出た。
ふと、甄が言った言葉を思い出す。
いつか、頂点に立つときはこの4人で・・・。
その言葉をかみしめながら、蔡文姫はマネージャーの元に走るのだった・・・。

~おしまい~
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